第45章 あなたの為なら☆光秀
【明智光秀は、謀反を企み本能寺で織田信長を亡き者にしようとするも、倒す事は出来なかった。
その後も信長の重臣を装いながら討ち取るべく画策するが、なんらかの妨害にあい失敗。
上杉・武田軍との戦いの際、相手方に寝返り、豊臣秀吉によって その命を絶たれる。】
『そんな…。』
確かに光秀さんは摑みどころの無い人だし、謀反を企んでいるのでは?って疑われた事もあった。
でもそれは、敵に信じ込ませる為そう見せかけて、みんなを騙してただけで…。
『俺たちが この時代に飛ばされたせいで歴史が変わって、明智光秀は、織田信長に謀反を働くことは無くなったはずなんだ。
まるで、なにか目に見えない力が、無理矢理 明智光秀を反逆者にしようとしてるような…。』
『こ、怖い事言わないでよ佐助くん!』
背筋がゾクリとして無意識に辺りを見回す。
『でも実際、安土城にいるはずの明智光秀を、ここに来る途中の山で見掛けたんだ。』
えっ!?光秀さんが戦場に来てる?
安土城を守れ、っていう命令を無視して?
『もう夜だし、見間違いじゃ…。』
希望を込めて佐助の顔を上目遣いに見る。
『いや、すぐ近くで見たから間違い無いと思う。腰の銃も見えたしね。』
『なんの為に…。』
独り言のようにあきらが呟く。
『昔の歴史を参考にすると、城に残っていると見せかけて信長を暗殺する為、かな。』
冷静な佐助の声が何処か遠くで聞こえている気がする。
『止めないと…。』
え?と聞き返す佐助の袖を掴む。
『そんな事させちゃ駄目だよ。何とかして止めないと!私、こんな時に現代になんて帰れない。』
一瞬、目を瞬かせた佐助が、あきらの手の上に自分の手を重ねる。
『そうだね。大切な人が誰かをを殺める所なんて、あきらさんには見て欲しく無い。でも、どうやって彼を止める?』
そこまで考えて無かった。
『とにかく光秀さんを探してみる。』
顔を歪めるあきらとは対照的に、佐助が不敵な笑みを浮かべる。
『あきらさん、目の前に忍びがいること忘れてない?必ず見つけ出して君に居所を知らせる。
あきらさんは何があっても必ず生きて。それじゃ、そろそろ…。』
そう言うと、佐助は あっという間に暗闇に消えた。