第43章 あなたの為なら☆家康
『い、いえや…す?』
突然の事に頭が働かない。顔だけが みるみる真っ赤になっていく。
『頼むから、もう危ない事しないで。』
耳に家康の息がかかり、くすぐったい。
『俺、あんたが いなくなったら、生きていけないかも。』
『ど…して?』
掠れた声であきらが問いかける。
『それは…気持ち悪いとか思わないでね。
あきら之丞の事が好き…だから。』
どくん!と鼓動が跳ねる。
僅かに触れた家康の頬も熱い。
『…悪くなんか…ない。』
え?と聞き返されて、もう一度はっきりと返答する。
『気持ち悪くなんか無い!だって…私も家康の事が好き…わっ!』
家康の抱き締める腕に力がこもった。
『家康?あのね、聞いて欲しい事があるんだ。』
そう言うと少し腕が緩む。
『私ね、500年後の未来から来たの。時空の歪みで、この時代に飛ばされたみたいなんだ。』
体を離すと、家康が、は?という顔をする。
『あ、それと、物騒な時代でしょ?自分が女だってバレると まずいと思って、男だって嘘ついてたんだよね。』
…ほんの数秒の沈黙が長い長い時間に感じる。
無表情で空を見上げていた家康が口を開く。
『ってことは、俺は何も遠慮しなくていいってことだね。』
遠慮?
『城に帰って落ち着いたら、あきら之丞の事べたべたに甘やかしてあげる。』
ちゅっ、と頬に口付ける。
意味が解りあきらは首まで真っ赤になったのだった。