第11章 【光秀 ~準備編~】
光「いや・・・。」
茶を啜りながら麗亞の顔を眺めた。相変わらずの百面相ではあるが、特に怪しい動きもない。ただの気のせいだと光秀は思う事にしたのだった。
麗亞は奥の襖の向こうがとても気になり光秀に聞いた。
「あの・・・この部屋の向こうには何があるんですか?」
チラリと麗亞が指さす方を見やり、光秀はニヤリとほくそ笑んだ。
光「あぁ・・・あそこか・・・。何だ気になるのか?見ても面白くはないぞ・・・。もしかすると、危険なものが潜んでいるやも知れぬぞ?」
物騒な想像をしてしまい、つい身震いをしてしまうが、それでも引き下がらず、光秀に食い掛かる。
「そ・・・そうやって脅して、私をまたからかっているんですか?そういえば、私が潔く諦めるとおもっていたりしませんか?」
光「ほう・・・その小さい頭の中身少しは回るのだな?」
揶揄されて少しふてくされる麗亞の顔を見て、なんだかほほえましく思った光秀。
光「そんなに知りたいのなら・・・暴いてみるか?だが、後悔しても知らぬぞ? 何かあっても助けてはやらんからな。」
意地悪な笑みを浮かべるのを見て、少し臆するが、麗亞は心を決めたのか、真剣な面持ちで頷いた。
「だ・・ダイジヨウブです・・・っ いざとなったら、走って逃げます!!」
両手をグーに握り戦闘態勢だという事を意思表示するように鼓舞する。
それを見て、光秀は観念したのか、立ち上がり、襖に両手を掛ける、そして、チラリと麗亞を見て、勢いよく襖の扉を両手で開け広げた。
その瞬間思わず目を瞑ってしまった麗亞だったが、そーっと目を開くとそこには・・・。
「ん?!! これって!!!」
その部屋には所狭しと凧が置いてあった。あの、お正月に上げる凧。だ。
「た・・こ?・・・こんなに・・・」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった麗亞に思わず苦笑してしまう光秀。
光「相変わらずの期待以上の顔芸を見せてくれるな、お前は。」
「か・・・顔芸って・・・」
思いっきり馬鹿にされてむくれる麗亞。
光「例の『くりすます』とやらの品だ。俺も負けるわけには行かぬからな。」
麗亞は凧の一つを手に取りまじまじと眺める。
「へぇー凄いですね。凧かぁ~お正月にも使えますね!」