第10章 【三成 ~準備編~】
「あ、えっと、三成君本読み始めて集中すると、全然動かないじゃないですか?でも、もし曲者がでたりしたら、切られちゃうんじゃないかと心配になって。」
それを聞いて何かを察したのか、光秀はニヤリとほくそ笑んだ。
光「ほぅ・・・それで三成に斬りかかろうとしていたんだな。」
「じゃ・・・、行ってきます。」
光「おい、待て…。」
静止も聞かないで麗亞は三成の部屋に入っていく。そうして竹刀を思い切り高く上げると、声を上げた!
「三成~隙あり!!覚悟!!!!」
そういうと思い切り三成へと竹刀を振り下ろした。
本を読んでいた三成はその声に反応して、傍らに置いてあった刀をすぐさま抜き声のする方へと振り払った。
麗亞はその素早い三成の行動に唖然とした。目の前に刀が迫ってくる。
「嘘っ・・!!」
光「麗亞っ!!!!! つっ!!!」
斬られる!!と覚悟した時。飛び込んできた光秀が素早く懐剣で三成の刀を受け止めた。
カキーンという刀がぶつかる音に三成はハッとした。すると目の前には刀を受ける光秀とそして、驚いて座り込んだ麗亞の姿があった。
三「光秀様・・・そして麗亞様・・。」
「え・・と・・・・・」
座り込んで口をパクパクさせている麗亞に珍しく動揺した光秀を見て三成が声を掛けた。
三「すみません・・・つい刀を抜いてしまいました。お怪我はありませんか?」
慌てて刀をしまう三成。
そして光秀も懐に刀を仕舞い。麗亞に向かって声を掛けた。
光「どんなに隙を見せようとも、武将は武将だ。いざとなれば勝手に体が動くものだ。解ったか?麗亞」
声も出ないくらい驚いた麗亞は首をガクガクと振った。
「あ・・・ありがとう光秀さん・・・。私刀のサビになるとこだったよ。」
ふう・・と光秀は息を吐くと。三成に向かって言った。
三「刀を抜くのはいいが、相手をきちんと把握するんだな。危うく麗亞がお前の刀の餌食になる所だったぞ。
ほら、この前言っていた本はこれだ。では私はこれで。」
そういうと、光秀は部屋を後にした。それを聞いた三成は慌てて麗亞に駆け寄った。
三「す・・すみません!!そうとは知らず、何処もお怪我はありませんか? 急に斬りかかられたので、つい体が。」