第10章 【三成 ~準備編~】
麗亞は世話役の仕事の一環で三成の御殿にやってきた。
沢山の書簡と、頼まれた羽織を持って。
「三成君~いる?」
声を掛けても返事がないので声を掛けて入る事にした。
「三成くーんはいるよー?」
そして入った所やはり三成は本を読んでいる最中。麗亞が入ってきたことも分からない様子だった。
「相変わらずの集中力だよね。凄いな・・・。」
そう言って寝癖を引っ張ってみるがびくともしない。
そのままでいるのもあれなので、一度部屋から出た。そして水の入った桶と椿油と手ぬぐいと櫛をもって来る。
そして三成の跳ねた髪を水で濡らし、そっと手ぬぐいをあてて伸ばしその後椿油をつけて櫛を入れ。整えてやった。
その間もビクリともしない三成。
「ある意味天才だよね。これ・・・・・。曲者が来たら斬られちゃうんじゃないかな?」
少し心配になった麗亞はある事を思いつく。
(そうだ!!!!! 襲撃してみよう!!)
思い立ったが吉日、麗亞は三成の家臣を探して竹刀を借りて来た。
「うう・・竹刀ってめちゃくちゃ実は重い。こんなの振り回してるの? 侍たちは・・すごいなぁ・・・。」
でも、一時になったものは検証すべきと、意を決して竹刀を両手で握り構える。
「こぅ・・・かな・・・。」
すると後ろから駄目出しの声が飛んできた。
?「なってないな・・・・。」
「え?」
振り返ると光秀がニヤニヤしながら両手を組んで佇んで居た。
「光秀さん!!どうして?!」
光「三成に先日頼まれた本を渡しに来たらなんとも面白い事をしているではないか。」
「そんな・・竹刀なんてもったことないんです。」
光「これから、敵陣に突っ込むという時にそんなへっぴり腰ではすぐさま斬られてしまうぞ。そんな横から握る馬鹿がいるか。それは死に手といって、一番駄目な握り方だ。」
そう言って後ろから抱きしめる形で麗亞に手を添え市内の握り方を教えた。
光「こう・・だ。」
そういうと、竹刀の柄に対して縦に握らせた。
「こうですか?」
光「解りやすく言うと、相手と握手をするような感覚で握れ。傘をさすときもこういう風に握るだろう?」
「あぁ・・・成程!!へえ・・・竹刀の握り方でもいろいろあるんですね。」
光「で、これからどうするんだ?竹刀なんか持ち出して。」