第8章 【上杉謙信・準備編】
謙「こんなひどい目にあわされた奴に恩情をかけるのか?相変わらず、甘っちょろい女だな。」
「それでも!です、命を奪うのはダメです!」
謙「だそうだ、命拾いしたな、次にあったら、容赦なく切り捨てる。次にこの女にも手出しをしたらもう、赦すことは出来ないと思え。」
今すぐ切り捨てられず、つまらないという顔をしたかとおもうと。謙信は首に当てていた刀を引っ込める、その刹那軽く刀を振ったかと思うと、鞘に収めた。
すると浪人の髪がハラリと落ちて、ざんばらの髪に。
浪1「ヒイィィィ!!!!!!」
慌てて解放された浪人は仲間の伸びてる浪人をたたき起こし、慌ててその場をあとにした。
謙信は、手を麗亞に差し出した。麗亞はその手を取ると、そっと立ち上がる。
「ありがとうございます、謙信様。」
謙「お前はいつも、無茶をする。こうなることを予測出来ないほどお前は馬鹿なのか?」
苦しそうにまゆをひそめる謙信。そこに別の声が後ろから聞こえた。
店「申し訳ありません、麗亞様は私を庇ったばかりに…」
ヨロヨロと立ち上がり、謙信に頭を下げる。
「あ、大丈夫ですか?どこも怪我してませんか?」
店主の体をみるかぎり特段怪我をしている様子もなかったのでホッとする麗亞
「何かあったらすぐ、お医者さんにいって下さいね。」
店「本当にありがとうございます。お二人には本当に感謝いたします。それでは、私はこれで、お店を片付けないと・・・。」
そういうと店主は2人にお辞儀をしてお店の中に入って行った。
謙「人の心配をしている場合ではないのではないか?来い。」
「えっ?どこに?わ、私は大丈夫ですから、」
麗亞の手首を掴み、手を引いて歩き出した。それにつられるように、歩き出す。
少し歩いた所に、宿屋があり、そこに入っていく謙信。
「あのここは?」
無言で手を引く謙信。されるがままに、あとをついて歩いて行くと奥の離れの部屋に着いた。中に入りふと手を離した謙信が口を開く。
謙「少し待ってろ。」
そういうと部屋を出て行ってしまった。
「あっ、謙信様…って行っちゃった…でも、待ってろって言ったから、勝手にいなくなっちゃ、ダメだよね…」
麗亞は仕方なく、座って謙信の帰りを待つ。さほどしない間に謙信は部屋に戻って来た。