第8章 【上杉謙信・準備編】
「何するのっ!?はなしてよっ!!痛いってば」
麗亞は浪人のすねを思い切り蹴り上げた。
浪人2「いてててててててっ!何すんだこのあまぁ」
けられた痛みに思わず麗亞の手を離し、すねを押さえてうずくまる。
浪人「威勢のいい、女だなぁ!ちっと、だまらしてやらないといけないようだな。」
そう言うと、腰に挿していた刀を抜いて、麗亞の目の前にかざすと、首元に刃先を当てた。
浪人「ちょっとでも動くと切れちまうぜ、ひひひ。」
錆び付いた刀でも、先は鋭利でチクリと痛みが走る。
もうダメだと背中に冷たい汗が流れた、その時、浪人の首の後ろからスッと太刀が出てきた。
浪人「なんだこれ?」
不思議がる浪人をよそに刃が浪人の首にピタリと当てがわれたかと思うと、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
?「ちょっとでも動くと、首が落ちるぞ。」
その声の主を見ると思わず声を上げた。
「謙信様!!!」
謙信「さあ、その汚い刀をその女から離すんだな、でないとお前の首が無くなる事になる。」
浪人「何行ってんだ!こっちには二人居るんだ…」
そう言って視線だけを仲間の方に向けるとそこには、仰向けに倒れて伸びている仲間の姿があった。それを見た瞬間、浪人は
麗亞から刀を離した。そして刀を手から離しじめんにおとした。
浪人「か、か、勘弁してくれよ、悪気はなかったんだよ、ちょっとしたどっきりな遊びで。」
それを聞いて謙信は冷たい微笑みを称え、
謙信「ほう、じゃ、こちらもちょっと遊びでその首でも落としてみるとしようか。」
それを聞いた浪人はサッと青ざめガタガタと震えた。
浪人「い、命だけは…」
謙信「さて、どうしてくれよう…」
微かに微笑んでいるように見えるが、これは絶対切り捨てる気満々の顔だ。麗亞はこの顔を嫌と言うほど知っている。
(謙信様はこういう不埒な輩には絶対恩情なんか、かけたりしない、ことに、私が絡んでいる事なら尚更…)
「あのっ!!!!謙信様!!私は大丈夫ですから、どうか斬らないで下さい!。私は大丈夫ですから、」
その声に謙信はようやく麗亞の方を見た。