第7章 【徳川家康・準備編 下】
「う・・うん。こう?」
真剣な表情で藁を持つ。するとそこに先ほどの下になった黒い部分に佐助が火をつける。
「えっ?大丈夫なの?これっ」
佐「動かないで大丈夫だから。」
すると、パチパチと柔らかい火花が上がり始めた。
家「これは・・・」
「わぁぁっ!! これってまさか!!線香花火?」
目を輝かせそのパチパチと淡い朱色の火花を散らして優しく燃える花火を見つめる。
佐「そう、松の油煙で線香花火の材料ができるんだ。あと、そのほかには墨の材料ともなる。人によっては、この松ヤニを求めて全国の松の倒木を求め点々と歩き暫くは滞在し採取する人もいる。」
家「要は今回の松の倒木騒ぎは、宝の山って訳なんだね。」
佐「そういう事です。ちょっとした火薬にもなる、炭にもなる、俺は煙玉やちょっとした煙幕の材料を作るのにこの松ヤニが必要で滞在していたのです。」
家康は何か思いついたのかその話を頭の中で考え、佐助にある提案をする。
家「俺らが来たのはこの倒木を放置していると、これからもし災害が起きた時にこの村が倒木で壊滅的被害が起きるかもしれないのでこれを処分しに来た。そこで、もしよければこの線香花火の作り方、教えてほしいんだけど。松も撤去しつつ、そして利用もする。勿論アンタが作りたいものも作ればいいよ。こちらは人手がある、アンタは知識がある。」
佐「家康さんの頼みと有れば、喜んで協力します。こちらも少人数なので、人手があれば助かります。家康さんも、線香花火をたくさん作れば、例のイベントの品になりますよね。」
その思惑を言い当てられちょっとドキっとした家康だが、この際新しい知識と引き換えなら仕方ないと思ったのだった。
家「敵に知識を授けられるのはちょっと癪だけど、背に腹は代えられないこともあるからね。とにかく宜しく。」
そんな二人のやり取りをみて、なんだか嬉しくなった麗亞だった。
「何かできる事が有ったら私も手伝うからね。」
家「危なくないお手伝いをしなよ」
佐「危なくないお手伝いをお願いします」
両方同時に同じことを言い放つ。
佐「気が合いますね、家康さんとユニゾン何て幸せです。」
家「だからその変な言葉辞めなよ・・・。」
そんな二人を見て可笑しくて仕方なかった。
「ふふふっ・・・解ったよ・・・。」
そうして三人の奇妙な共同作業が始まった。