第7章 【徳川家康・準備編 下】
それから佐助と家康達が協力して、倒木より松ヤニを取り、その後、木は薪として使いやす大きさに割ってまとめた。
「なんか松の木の薪っていい香りする。」
佐「香料なんかにも使われたりするからね。松の木はもともとこの木だけで火が付くんだ。たいまつという言葉を知ってるよね。」
「キャンプファイアーとかで使うあれでしょ?」
佐「まぁ、そんなものだけど、元々のたいまつっていうのは漢字で書くと「松明」つまり松の明りと書くんだ。」
「へぇ~なるほどね…。」
2人が話し込んでいる間にも家康は一生懸命線香花火造りに没頭していた。
佐「流石家康さん、少し教えただけでもうあんなに・・・。流石としかいいようがないな。」
「あんなに一生懸命に。ふふ、ほっぺたにススがついてる・・・。」
家康の真剣な顔とその頬のすすがアンバランスでなんとなく可笑しくなってくる。
そんな二人の賑やかな声がふと聞こえた家康は二人の方をチラリと見る。
家(なんか楽しそうなんだけど・・。あの忍び無表情だとおもってたけど、麗亞といるとなんとなく感情が出ているようにも見える・・・・。なんか気に食わないんだけど・・・。)
心の中でモヤモヤしたモノが湧き上がる。
ある程度終わらせると、一段落したきりが良い所で、麗亞達の所につかつかと歩いていく。
家「なんか楽しそうだね2人とも。」
「あ・・家康。もう終わったの?」
家「とりあえず一段落したから、少し休憩。で、何を笑ってたの?」
少しムッとしてる家康に麗亞はクスリと笑い少し水をつけた手ぬぐいをおもむろに家康の頬に当てた。
「ここ・・・ススがついてるよ・・・家康。」
家「な・・・っ///」
そんなかっこ悪い姿をずっと見られて笑われていたかと思うと恥ずかしくなって言葉が出なくなった。
佐「あ・・・照れた家康さんも素敵です。」
茶化す佐助に思わず睨み返し反論する。
家「照れてないから、気のせいだから。」
「ふふふっ・・・はい・・・綺麗になったよ。」
家「麗亞も笑わない。」
そうしてほのぼのした雰囲気で三人は数日その村に滞在し、作業を続けたのだった。そしてすべてが片付いた後、三人はまた安土へと向け帰路に就いたのだった。