第7章 【徳川家康・準備編 下】
「なに?それ」
佐「見ていてください。」
そういうと佐助はきょろきょろと部屋の中を見渡すと、ふと何かに気づいてそちらに行って何かを持ってきた。
「藁?」
佐「あとは外でやりましょう。」
麗亞達は家の外に出てきた。家康も、小鹿の治療を終えて小屋から出てきた。
藁に先ほど懐から取り出した包みから、黒い粉を出して、外にあった松の切り株から出ていた樹液を練り込み、その練ったものを塗りつけた。そして器用にくるくると、輪のように巻いた。
「これは?」
佐「ちょっと危ないのでもっと下がって。俺もコレを試作するのは初めてで。」
そう聞くと、家康と麗亞は数歩後ろに下がる。佐助は火打石でその先ほど作ったものの長く伸びてる尻尾のような先に気を付け、麗亞達の所まで戻って来た。
すると藁がじりじりと燃え、そして黒い部分まで燃え広がると、シューーっという音と共に、パチパチ綺麗な火花を出しくるくると回り始めた。
「これって!!!!???鼠花火!???」
それを聞いて微かに微笑む佐助。
家「なにそれ?」
ひとしきり廻り全部燃え尽きると最後はパンッと音を立ててはじけた。
「すごーーーーーい!!佐助君?どうやったの?凄い凄い!!」
はしゃぐ麗亞に佐助はいつものポーカーフェイスで淡々と説明を始めた。
佐「この黒い粉は火薬です。コレを作るには古土法といって、古民家の床下の土を集め、温湯と混ぜ暫くすると上澄みが出てきます。それをまず使います。」
うんうん・・・。と麗亞も興味深そうに聞いているが、家康も初めての事なのでより真剣に聞いていた。
佐「それに、山で採って来た草木を燃やして灰にします。それを先ほどの上澄みと混ぜると、硝酸カリウム塩溶液というものができるんです。」
「急に化学のお勉強になって来たね佐助君。」
聞きなれない言葉に家康は眉を寄せる。
家「何?かがく?しょうさんかりうむ?何なの??」
佐「要は、色々なものが合わさって特殊な物質に変わったという事です。また今度良ければレクチャーします。」
家「相変わらず訳の分からない単語も混じっているけど、まぁ、でも知識を身に着けることはいいことだからまた聞いてあげてもいいよ。」