第7章 【徳川家康・準備編 下】
家「ちょっと麗亞勝手に動くと危ないよ、まだ倒れ掛かっている木もあるんだから・・。」
遠くで声を掛け歩いて来る家康。その家康に声を掛ける。
「ごめん!!ここに小鹿が怪我をしているの!!助けなきゃ。」
そう言って小鹿を驚かせないようにそっと抱き上げる。ビクリと怯えるが、もう抵抗する体力も残っていないのか、弱々しく震えるだけだった。
「大丈夫だよ、帰って怪我の手当てしようね。」
そう優しく声を掛け、立ち上がった時、その倒れ掛かった松がミシッと音をたてたかと思うと、麗亞めがけて倒れてくる。
家「麗亞っっっ!!! 危ないっ!!!っ・・くそっ・・!!間に合わなっ・・・」
慌てて駆け寄ろうとするが、倒れる松が幾分か早い。
??「しゃがんで!!麗亞さん!!!」
何処からか聞こえてきた聞いたことのある声に思わず小鹿を抱えてその場でとっさにしゃがむ。
すると、松の軌道が逸れギリギリで麗亞の横に倒れた。
家「麗亞っ!!!!!」
家康がすぐそばに駆け寄る。そしてその声の主も麗亞の元へと。駆けつけた。
??「危なかった。ギリギリだった。」
「佐助君!!」
家「なんで敵の忍びがここに?・・・でも麗亞を助けてくれたことには感謝する。」
佐「本当は麗亞さんごと助ければよかったんだけど、小鹿も居たし、間に合いそうになかったから、倒れる木の軌道を変える位しかできなかった。間に合ってよかった。」
家「とりあえず、また倒れてくる木があるといけない。ここを出るよ。」
三人はとりあえず、その場所を後にし小屋まで戻ってくる。途中で山の中に生えていた薬草を摘んできた。それを家康が薬にして、家の中で小鹿のけがの手当てを始めた。
「で、なんで佐助君はここに?」
首をかしげて不思議そうに佐助を見る。
佐「あぁ、俺は少し前からこの村の端に滞在していて、色々作業をしていた。この村に松の倒木が沢山あると聞いて。」
家「松が何か価値があるの?木を切り出して家具でも作るつもり?」
佐「いえ・・・。とある物質を作るのに松は最適なのです・・・。と言っても、どう話していいのかわからないので実践してみましょうか。」
そういうと、懐からなにやら小さな包みを取り出した。