第5章 【徳川家康・準備編 上】
「聞いた?家康温泉だって!!」
家「といっても、この家の裏の小屋だよ? 一人で真っ暗な中行くつもり?」
それを聞いて、ハッとする麗亞、全然そのことを考えてなかった様子で、残念そうな顔をする。
「だ・・ょね?・・・。そっか、」
そんな顔を見ると無性に居てもたってもいられなくなった家康は小さくため息をつくと、麗亞に言う。
家「一緒に行く? ただ・・・・・。一人にはさせられないから、一緒に入る事になるけど?それでもいいの?」
「一緒に・・・///?」
その言葉を聞いて麗亞の顔が赤く染まる。が、心の中で入りたい、でもの繰り返しをしているであろう表情がみて取れる。
家「入りたいの?入りたくないの?」
頬を染めて俯くと、ポツリ蚊の鳴くような声を出した。
「・・・はいりたい・・・。」
家(あーあ、その顔反則でしょ?ったく・・・)
心の中でつぶやかれた声は麗亞には聞こえるはずもなかった。
村人が支度してくれていた夕飯を済ませた後。着替えの準備をして、家康と二人で、家の裏手にある小屋を目指す。
家「ほら、暗いからもっとこっち来て」
手を差し出す家康にそっと手を乗せる。ぎゅっと握られた手がやけに熱い。家康が手に持っているろうそくの明かりを頼りに進むと小屋が見えてきた。
「あそこだねきっと!!」
小屋の中は、お風呂の脱衣所のようになっていて、壁に着替えを入れる棚と籠が幾つか置いてある。
その奥に木戸があり、その先が温泉のようだ。その手前に大きな木の衝立が置いてあった。
家「俺は後から入るから、先に入りなよ。後ろ向いているから。」
「う・・・ぅん・・・。じゃ・・・先に行くね・・・。」
そういうと衝立の奥に入り、着物を脱ぎ始める。衣擦れの音が生々しく後ろを向いている家康の耳に嫌でも入る。
家(うわ。。。どうしよう。なんかヤバイ・・。)
いつになく緊張する家康が邪念を払うように声を掛ける。
家「そのドアの外何があるかわかんないから気を付けて入りなよ。明りはちゃんと持って行って。」
「うん・・・。」
着物を脱ぎ終わった麗亞は手ぬぐいと、ろうそくをもって木戸をそっと開ける。その先の光景に思わず目を見張った。
「うわぁぁ・・・!!!」