第5章 【徳川家康・準備編 上】
安土城近隣の村と言っても、麗亞のいた現代に比べると半日くらいはかかる訳で、こんな時電車やバスがあればいいのになんて暢気な事を考えていた。
家「さっきから、何考えこんでるの?いつもならペラペラお喋りする癖に。」
「あっ・・・ええと、やっぱりこの時代は近隣に行くにも遠いんだなって思って・・。」
家「麗亞の居た時代だとすぐなの?」
「うん、電車とか、バスとか車があって、それで隣町だって村だってあっという間だようんと・・・四半刻を更に三つに分けた位の時間で。」
家「へぇ~それだと凄く便利だね。何かあった時に駆けつけられる。」
戦国武将が電車で近隣の村に駆けつけるのを想像したらなんだかおかしくて笑ってしまう。それを見た家康はちょつと不満そうに言う。
家「何笑ってんの?」
「いや・・・なんか家康達が、隣村に電車で甲冑来て駆け込み乗車したり、勢いよく電車から駆け降りてきたのを想像したらちょっと可笑しくて。」
家「なにそれ・・・」
「でも、家康にも皆にも一度500年後の世界見せてあげたいなぁ~。物凄く平和で便利で、キラキラしてるの。皆が平等で楽しく過ごせるの。」
嬉しそうに微笑む横顔を見ながら、家康は心が落ち着かなくなる。
家(またそんな、顔する。可愛すぎるでしょ?)
家「戦が無い時代で、皆が平等っていう世界、にわかに信じがたいけど、あんた見てるとそういう世界もあるんだなって気になるかもね。」
「え?それってどういう。」
首を後ろに向けて家康の方を見る麗亞
家「こんなに能天気な顔をして居られる、危険を危険と思ってない。考えがとてつもなく甘すぎるアンタ見てると。妙に真実味が増すんだよね。」
ずばずばと言われちょっとムッと更に後ろを振り返りグーで家康の胸を軽くパンチする。
「もうぉぉ~確かにそうかもしれないけど、そこまで言う事・・・きゃっ!!」
瞬間バランスを崩して馬からよろけて落ちそうになる。それを家康は冷静に腕で支え。前を向かせた。
家「ほら!言ったじゃない、馬上で暴れると落ちるよ?」
思いもしない危機に心臓がバクバクする。
「ぁ・・有難う・・こ、怖かった・・・(汗)」
麗亞が落ちないように左手でそっと麗亞の後ろから腰に手を回して抱きしめた。
家「少し飛ばすよ。舌噛むから黙っててね。」