第5章 【徳川家康・準備編 上】
家「では午後から出立致します。」
それを聞いて何だかいてもたってもいられずに信長様に話しかけた。
「あのっ・・・!! 私も・・行ってもいいですか?なにかお手伝いがしたくて。」
それを聞いて二人は思わず顔を見合わせた。
家「来ても力仕事だから麗亞ができる事は何もないと思うけど?それとも、その細腕で男衆に混じって倒木でも運ぶつもり?」
「えっと・・そういう力仕事は出来ませんが、皆さんのお食事の支度とか、なにかちょっとした村でのお手伝いがあれば、やらせてほしいんです。ダメ・・・ですか?」
それを聞いて信長はニヤリとほくそ笑む。
長「駄目と言っても聞かぬのだろう?本当にお前はじっとしていられない女子であるな。良いだろう。家康、世話役として連れて行け。」
ふぅ、と小さくため息をつくと家康はちらりと麗亞を見る。
家「とにかく危ない事はしないで、麗亞に怪我されても、余計な仕事が増えるだけだからね。ちゃんと俺の指示に従ってもらうよ。」
それを聞いて嬉しくて二人に頭を下げた。
「有難うございます!信長様!! 家康!! よろしくお願いします!!」
家「昼餉を食べたらすぐに出るから、それまで、用意しといてね。遅れたら置いていくから。」
「うん、わかったよ。」
家康は立ち上がると、そそくさと信長様の部屋から出て行った。
長「麗亞気を付けて行くのだぞ、本当は泊りがけで行かせたくはないのだが・・・。」
「大丈夫です! ちゃんと家康の言う事を聞いて、怪我をしないようにしますから。」
それを聞いて信長様がため息をつく。
長「そういう意味ではないのだがな・・・。まぁ、いい、政宗と行かせるよりはましか・・・。」
「え?政宗さんがどうかしたんですか?」
長「嫌、独り言だ・・・。とにかく無事で帰って来い。良いな、お前は私のモノなのだから。傷一つつけるでない。」
私の髪をひと房手に取ると、それにそっと口づけた。チラリと私の目を間近で見つめる信長様の瞳に心なしか、心臓の鼓動が早くなった気がした・・・。
「分かり・・・ました。///」
(信長様気づいているのかな・・時々なんかこう、色っぽい仕草とかする事。なんだか落ち着かなくなるんだよね…。)
「とにかく準備があるんで、これで・・・。」
そういうとそそくさと部屋を後にした。