第3章 【武田信玄・準備編】
城下の飯屋でお昼を楽しんでいる二人。お昼時とお店の中はたくさんの人で溢れて居て活気があった。
「美味しいですね。」
向合わせで席に座っている二人、そして満面の笑みでご飯を食べている麗亞。
玄「なんか君がそんな顔をして食べていると、本当に美味しそうな感じがする。」
「だから、本当に美味しいんですってば。信玄様は美味しくないですか?」
玄「いいや、美味しいよ。なんていうか、その顔で更に美味しさが増えたようだ。いつもはむさくるしい男どもとご飯だからな、余計に。安土城でも君はみんなと一緒にご飯を食べるのかい?」
「えっと・・・みんなが集まっているときには一緒に食べますけど、皆さんがそれぞれの邸宅に帰ってしまえば、そちらでみんな食べるんじゃないかと。」
玄「じゃ、皆が帰っているときには君は一人で食べているのかい?」
「ひとりって事はなかったかな?誰かしら、お宅に呼んでくれたり、安土城に居る時には信長様や秀吉さん達と食べたり。あとは、皆が忙しいときには、お針子仲間のみんなと食べたり。」
玄「君の周りは、いつも賑やかで人が集まってくるんだな。それも姫の人柄なのか・・・。」
二人は食事を終えると、また屋敷へと向かう。
途中でふと何かを見つけた信玄。
玄「ちょつとここで待っててくれないか?すぐ戻る。」
「あ、はい。・・信玄様・・」
そう言って一軒のお店に入っていく。麗亞がその場で待っていると。
幸「おー、お前か~なにしてんだ?そこで?」
ふと声の方に顔を向けると。そこには幸村と佐助君が一緒に歩いてきた。
「あ、幸村、それに佐助君。どうしたの?こんなところで。」
幸「あーー、こいつと色々例の贈り物の件についてあれこれ作戦会議だ。」
佐「そういう麗亞さんこそここで何を?」
(え・・・どうしよう、信玄様と一緒なのを言ってもいい物なのかそれとも駄目なのか・・・。)
「えっと、私は今日市があるから、着物の端切れとかを買いに来てて・・・」
幸「そっか~、でも買い物したらちゃんとすぐ帰るんだぞ?暗くなると物騒だからな。」
「う・・うん、わかった。有難う。」
佐「じゃボクたちはこれで、またね麗亞さん」
そう言って手を振り通り過ぎていく幸村と佐助だった。