• テキストサイズ

【刀剣乱舞】銘々取りゝ 我等は刀よ

第1章 一歩


『主になるということ』

* * *


「……これって現実?」
「残念ながら」
眼前に構える光景を飲み込めない私に対し、こんのすけは非情にも事実を伝える。






今日から私が主となる本丸は衰退していました。






何がどう衰退しているのかと言われると難題なのだが、簡潔に述べるならば気が澱んでいるとでも言おう。
この本丸の建物自体から負の感情が濃く混じった空気を感じるのだ。伝統的な武家屋敷で建物自体とても古く、長い間建っていたものだろう。しかし妙に『黒い』。黒い霧が掛かっているかの如くハッキリとしない。そして今日は晴れている筈なのに、この本丸付近の空は今にも雨が降りそうに曇っている。

「何…?どうなってるの?何か本丸、変に黒いし…」
「審神者は特別な力を持ってます故、実際に“気”を見ることが出来ます」
「へぇ〜便利〜…」
「そして気の纏う感情や思いを断片的に読み取ることも出来るのです」
「はーん…え?あ、あのさ、この黒い澱んだ感情ってもしかして、刀剣男士の?」
恐る恐る聞くと、こんのすけは一切の迷い無く言い切る。



「はい」
「はいじゃない!!!」

どういう経緯でこんな負のオーラ出してるのか知らんが、これが刀剣男士達というのならばこれから私にどうしろと言うのか。殺されに行けと?



「おい、さっきの車の運転手呼んで来い。配属先決めた上のトコにカチコミ行くぞ」
「運転手なら先程帰りましたよ」
「え、うそでしょ」
「仕事終わったらすぐ帰りたいものですよ」
「うおおおおおお開けろーーー開けてくれーーどんどんどん」
背後の閉じ切った門扉を無意味連打してみるも、門は黙って私の拳を受け止めている。個人的に彼氏にするならこういう人が良い。
「立花様 実はふざけてます?」
「ちょっとね」
この事実に驚き過ぎてもうふざける事しか出来ぬ。


/ 58ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp