第1章 一歩
それから私は審神者になる為に必要な訓練を受ける事になった。
実際戦いに出るのは、刀の付喪神である刀剣男士。審神者は刀剣男士を顕現させたり、手入れ、刀装作り等の手助けをすることらしい。少しだけ安心すると同時に、私は刀剣男士の命を預かる事になるのだと感じ、やはり荷が重い役だと改めて思った。
後の二人はどうなったかというと、もう一人の二年生は引き受けたが、三年生は戦線から離脱した。
三年生は『今聞いた事は絶対に他言するな』とキツく言い聞かされた。教頭と口調はやんわりとした物だったが、目が一切笑っていなかった為三年生も怯えていた。もし他言した事がバレたら只では済まないんだろう。
紆余曲折を経て、無事私は訓練を済ませた。晴れて審神者となり、こうして車に揺られながら自身に任された本丸へと向かっている。
「いやー遂に本丸かー。緊張するわー」
「改めて就任おめでとうございます立花様。ひとえに立花様の努力の賜物ですな!」
「だはは。いやマジ頑張ったかんねー私。ホント辛かったわ訓練期間」
『審神者は体力も重要だ』と言われ、毎日の運動メニュー見た時は間違えて自衛隊に入隊したのかと思った。同期の子と本気で脱走を企てたのも良い思い出だ。
結局教官にバレて“地獄の反復横飛び“6300回”を課せられた次の日は、筋肉痛で同期と布団から動けなくなって金縛り状態になったのは今になっても笑えない。