第1章 一歩
「只ね、毎年適正の出る子がいる訳じゃあないんだ。数年に何人かいるかいないか程度だ。今年ウチの学校から3人も出るなんて本当に異例なんだ。まだまだ敵と審神者の数が比例してない。出来たら君達3人に審神者になってもらいたい。無論タダとは言わない。それ相応の報酬が与えられる。学校へ行く代わりに戦うことになるしね。
しかし、軽く考えないでくれ。これは戦い。当然命の危機が伴う。なるかならないか、それは君達が決めてくれて構わない。無理強いは決してしないよ」
────『自分達で決めて良い』
そう言われると、思わず言葉が詰まる。強制的にならされるものだとばかり思っていた為、いざそう言われると気持ちが振れた。戦うとは、命を懸けるということ。
私の命と同じ天秤に掛かっているのは人の未来と命。決して軽い物ではない。選ぶのは自分。死んでも誰にも文句が言えない。何故ならそう決めたのは自分だから。
死ぬかもしれない。でも誰かの為になる。誰の役に立てる。誰かを救える。
────それなら、死んでも本望かもしれない。
「私、やります」