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【刀剣乱舞】銘々取りゝ 我等は刀よ

第5章 汚れちまった悲しみに


「主、大丈夫?」

「う、うん、平気…」


清光が駆け寄り身を案じてくれる。何とか気丈に振る舞い答えるが、声の震えは隠し切れなかった。
喉を擦り、傷が無いことを確かめる。幸い、切っ先が肉に刺さることは無かったようだ。これから先、きっと同じような事が幾度も起きるだろう。最初で首が無傷で繋がっているなんて幸先がいい。
……と思っておこう。


「さて…立花くん。僕は対面上君に協力をするわけだが、まずは何より、君に聞いてもらわねばならない話があるんだ」

「話、ですか?」

「ああ。とても、大事な話がね。加州には少し酷かもしれないが…」


そう呟く歌仙の言葉に釣られ、清光を見上げる。彼は堪えるようにして俯いた。庇うようにして私の肩を抱く彼の手に、仄かに力が籠る。



「さっき君はここで起きた過去の記憶の断片を見ただろう。そうあくまで断片。只のほんの一部に過ぎない。
これから僕が話すのは、“奴”がどういう人間だったか。僕達刀剣男士に”何を”したか、そういったより根深い話だ」

歌仙の顔に濃い影が落ちる。前髪の隙間から覗く据わった瞳と僅かに震える声の調子から、彼に徐々に怒りの火が灯っていくのが分かる。


「この本丸の審神者をやるなら知るべきことだよ。“年端もいかぬ小娘のお遊び感覚”でここの審神者をされるなんて不愉快でしかないし、そもそも務まるわけがないんだからね?」


歌仙の冷えた声と言葉の一つ一つが刃となって容赦無く突き刺さる。しかし、そう言われて当然だ。私がまだ成人してない未熟な身であることだけでなく、私自身の覚悟のことについて問われているのだ。

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