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【刀剣乱舞】銘々取りゝ 我等は刀よ

第3章 この本丸には嘗て鬼が居た


仕事を終えた私達は次の設備確認へと向かう。私ぐいーと伸びをし、固まった身体を雑に解す。

「そういや清光は今まで風呂どうしてたの?あっ、まさかお前も風呂何ヶ月も入ってな、」
「んなわけないでしょ。主の部屋は離れにあってね、主専用のお風呂も向こうにあるんだ。そこを使ってたの」
「へーそうだったの。確かにその方が良いよね」
「うん。あそこは、さ、広過ぎるから」
その言葉に、微かに悲しみを感じた。
審神者がこの本丸から退いた時、最初はあの風呂を使っていた者は多く居ただろう。でも段々と刀剣男士達が虚脱状態に陥り始め、いつしか清光以外誰も使う者はいなくなった。

清光は自分の目でこの本丸が崩壊していく様を見て来た。清光の性格上、始めは独りでも皆んな元気付けたりし、本丸を立て直そうとしたろう。立て直そうとして、諦めた。それでもこの一年以上たった独りで立派に守ってきた。全ては憶測の上での話だが、これだけは確かな事実なのだ。
「清光ってさー、本当に立派だよね」
「? え、急になになに??何の話??」
「いんや、こっちの話」



そうして廊下を歩いていると、不意に向こうから人影が現れる。
「ん?」
その人影は私達に気付くと一瞬立ち止まるが、戸惑いながらも再びこちらに足を進めてきた。
「あれ、アイツ…」
「……清光?」
彼の表情が僅かに険しくなる。知り合いではないのかと困惑するが聞かないのが懸命だろう。
不意に、前方からの人影が走ってこちらに向かって来た。予想打にしない行動にギョッとするが、瞬く間にその彼は目の前にやって来て、肩で息をしながらも先を急ぐように口を開く。








「清光!!」
「───────安定」


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