第2章 台所事変
暫く経ち 痺れが収まると、ゆっくり立ち上がり清光に妥協案を出す。
「分かった…じゃあ二人で何とかしよう。そうしよう」
「俺も賛成…」
顔を見合わせガシリと握手を交わす。これから地獄を見る仲間だ。共にやり遂げる誓いでもせねば気合いが入らない。泣きながら頑張ろ清光。
「よし。じゃあこの“緑の混沌”の始末ついでに軽く掃除もしようか。台所自体汚いし」
「そうしよっか。てーことはぁ〜…掃除するからには道具がいるよね。俺取ってくるよ」
「ちょっと待った清光ぅ!!」
取って来ようと走り掛ける清光を制止する。何事かと目をぱちくりさせる彼にふふふと微笑む。と言っても布で鼻摘んでるからカッコついてないんだがな。鼻声だし。
「清光がわざわざ走らなくとも道具は手に入る、はずなのだよ」
「はず?はずって何でそんな不確定な言い方??」
「まぁ見ておれ…。 こーんのーすけぇ──!!」
「立花様、映画版ドラえもんの始めにのび太がドラえもん呼ぶ時みたいな言い方しないでもらえますか?」
そうです。2205年のドラえもんこと こんのすけです。
「的確かつ長いツッコミをありがとう こんのすけ」
分かる人にしか分からないネタを放り込んできたな。古いドラえもん映画では 毎回OPの直前に、のび太が『ドラーえもーん!』て叫んで始まってるネタである。
「何でこんのすけが?」
「あ、清光やっぱ こんのすけのこと知ってんだ」
「まぁそりゃあね。前の主が居た時から知ってるよ」
「あー……なるほどね。前のね」
“前の主”。その言葉が出るだけで嫌気が差し、思わず表情が固まる。もはや拒否反応レベル。