第1章 心操人使◆世話焼き幼馴染み
「これは…」
「露出しすぎ」
「これくらい普通だよぉ!」
普通じゃない、と人使が譲らないから、結局いつもと同じような服で落ち着いた。
「うぅ~子供っぽくない?」
「可愛い」
「それって、子供っぽいんじゃ…」
「可愛いよ、なまえは」
そう言う人使が、何故だか違う人に見えて、なまえは「ひと…?」と戸惑いがちに呼ぶ。
「次、行こっか」
「う、うん…」
次、次…と店を探して、なまえは発見した。
ここであれば、流石に人使の手も及ばない。
「ひと!私ここ見てるから、ひとも好きなとこ見てきなよ!」
そこは下着屋だった。
男にとっては、まさに禁断の場所だろう。
「俺も一緒に見るよ」
「ええっ!?」
ひと、来る!?ひと来たーーー!!
なまえは混乱していた。
まさか人使が、一切の躊躇もなく、女物の下着屋に入っていくなんて!
「ひと、変態さんだと思われちゃうよ!?」
「なまえと居れば大丈夫だろ」
人使は頑なだった。
仕方ないと、なまえは勝手に下着を探すことにした。
とびっきり、大人っぽいものを。
「あ、なまえ、それサイズ合ってない」
「なんでサイズ知ってるの!?」
「なまえはこっち」
結局、終始人使のペースで買い物は進んでいったのだった。
更に言うと、なまえのクローゼットに、また苺のパンツが増えた。
レストランに入って椅子に座り、なまえは改めて疲れを感じてため息をつく。
「なまえ、なに食べたい?」
「オムライス…」
「デザートは?」
「えっとねー、パフェの…」
なまえが、デザートの話になった途端に生き生きするのを見て、人使が笑う。
「ん~でも、アイスも食べたいの…」
「残したら食べてあげる」
人使は決して、なまえを妹とは思ったことがなかった。
ずっと、一人の女の子として見てきたのだ。
「アイス食べたら、ペットショップにも寄ろう」
自分の一挙一動で笑顔になるなまえが、愛しくて堪らなかった。
風呂上がりのなまえの髪を乾かすのは、人使の役目だった。
髪が風に揺られて、うなじをあらわにする。
見ないのは勿体ないから、人使の目は揺らがない。
「はい終わり。…なまえ、眠いの?」
「うん、はしゃぎすぎちゃったみたい…」
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