第3章 死柄木弔◆ドルオタ
俺は死柄木弔。
アイドルのなまえっぺの応援をする傍ら、反社会的活動をしているドルオタだ。
今、なまえっぺライブの現場に向かっている。
赤信号…ああイライラする。なまえっぺのTwitterをチェックしよう。
『早く会いたいなー』
……これは俺への私信だな。今日はいい日だ。
「なまえっぺ!可愛い!!超絶可愛い!!!なまえーーーーーーーー!!!!!」
最前列でひたすらシャウトするのがライブの醍醐味だよな。後方彼氏面?バカじゃね。
あっ、今なまえっぺがこっち見た!絶対!俺の方を!見たんだよ!!!
なまえっぺはすぐに視線を逸らしてしまったが、俺はその後もルンルン気分でグッズを枯らした。
CDの購入特典は、チェキの撮影会のようだ。
俺はなまえっぺ単推しだから、2ショットは譲れない。
…と、その前に。
「なまえっぺ…これ、Twitterで欲しがってた…」
「わぁ~いつもありがとうございます!えぇと、しつかき?さん」
「え、名前」
「お手紙に書いてあった名前…もしかして間違ってました!?」
「死柄木デス…弔、でお願いします…」
「とむらさん?」
可愛い。何が可愛いって、ひらがな発音丸出しなとこ。
ってか、認知キター!!なまえっぺに認知されちゃったよ俺!
ファンの名前を覚えてるなんて、やっぱりなまえっぺは思いやりのあるいい子だ。
こういう時、推しがなまえっぺで良かったと思う。
ただ、俺以外はなまえっぺに呼ばれた瞬間命がないと思え。推し被りじゃなくても殺す。
ガチ恋?当たり前だ。俺はなまえっぺを本気で愛してる。
「とむらさーん、いきますよー」
はいチーズって撮られたチェキは、部屋に飾ろう。
いやー、今日は最高にエモい。
あくる日、俺はなまえっぺのライブスケジュールをチェックしていた。
ツアーだと…よし、敵連合干す。そうと決まれば全通だ。
「…死柄木弔、アイドルのグッズ、まだ増やすのですか?」
「なまえっぺは俺の運命の人だからな」
黒霧がこっちをみて立ち尽くしている。…まさか!!
「お前もなまえっぺが好きになったのか!?推し被りは殺」
「誤解です死柄木弔」
「お前なまえっぺの良さが分からないのか!?」
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