第4章 初デート
体育館の点検で体育館が使用出来ない事。監督が使用で練習に来れない事。この二つが偶然にも重なって、部活は休みになった。だから、真っ直ぐ家に帰るつもりだったのに、HRが終わるや否や、うちのクラスにやってきた青峰くんに捕まり、何故か青峰くんとそのまま出掛ける事に。逃げたいのに、肩をしっかり掴まれ、逃げる事も叶わない。ていうか、何処に行くつもりなのだろうか。帰りたい。帰りたくて堪らない。けど、青峰くんの手を振りほどき走る勇気はない。仮に逃げたとしても私の脚力じゃすぐに捕まってしまう。
「…青峰君、何処行くの?」
「何処って、折角部活が休みになったんだ。デートすんに決まってんだろ?」
「で…!」
デート!?いや、私と青峰くんは付き合ってない!まあ、俺の女になれとは言われたけどそれにイエスと答えた覚えはないし、答えるつもりもない。
「私、デートなんか…!」
「あー…この間どっかの誰かさんにマイちゃんの写真集ダメにされたなあ。」
先日、私は青峰くんお気に入りのグラビアアイドルの写真集をダメにしてしまった。それをキスで許してやると言われた。結局、さつきちゃんが来てくれたおかげでキスはせずに済んだけど、私はまだその写真集の弁償もしていない。だから写真集の事を言われてしまうと、これを断る事は出来ない。
「…喜んでデートに行かせていただきます。」
「最初からそう言やいいんだよ。」
私の答えに満足そうに笑う青峰くんのその表情に不覚にもドキドキしてしまった。