第2章 俺の女
「おい。」
不機嫌そうな聞き覚えのあるその声に振り返るとそこに立っていたのは青峰くんだった。ギロりと鋭い瞳を更に尖らせた青峰くんはいつも以上に怖かった。その青峰くんの姿に私に絡んでいた中学生も一瞬たじろいだ。が、まだ肩は抱かれたままだ。
「俺の女に何してんだ?」
「え?」
青峰くんの口から出た言葉に驚いて、思わず声が漏れた。その声を聞いてか否か、更に怖い顔になる青峰くん。私はまた咄嗟に手で口を隠した。青峰くんの姿に恐れをなしたのか、別に道聞いてただけです!なんて言って、私は青峰くんの方へ突き飛ばされた。それを青峰くんが受け止めてくれた為、転けることはなかった。そして中学生達は足早に公園を出て行った。
「…ありがとう、青峰くん。」
「お前、毎度毎度面倒な事に首突っ込んでんじゃねーよ。」
「毎度?」
「…ちっ、なんでもねーよ。」
助けてもらえた事は有難かったが、青峰くんの口から〝俺の女〟なんて言葉が出るとは思わなかった。
「俺の女なんて嘘つかせてごめんね。」
嘘でも私みたいな女が青峰くんの彼女なんて口にした青峰くんはきっと、屈辱的だっただろうと思いそう言った。
「本当の事にしちまえばいいだろ。」
「は?」
「今日からお前は俺の女だ。」
「なんで?意味分かんないんだけど!」
「たった今、俺が決めた。お前に拒否権はねーよ。」
そんな横暴な…!
こうして半ば強引にバスケ部のマネージャーをやるハメになった私。今度は強引に青峰くんの彼女…?になることになりました。いや、ホント意味分かんない。