第1章 横暴なバスケ部エースに目を付けられました
考えても考えてもどうして私なんかに青峰くんが声を掛けたのか検討もつかないまま迎えてしまった放課後。
青峰くんに言われた通り体育館に行くべきか否か。でも、私書道部だし。…青峰くんはちょっと怖いけど、ここは無視しよう。私は書道部。体育館に行く意味も義理もない。そう思って教室を出た。
「おい。」
低い声に肩が飛び跳ねた。名前を呼ばれた訳でもないし、それは私に掛けられた言葉じゃないかもしれない。でも、この声の主は、青峰くんだ。
「何処に行くつもりだ?体育館はそっちじゃねえだろうが。」
「でも私、部活が…、」
「あ?だから体育館に行くんだろうが。」
首根っこを掴まれ、ズルズルと引き摺られる形でそのまま体育館へと強制的に連れていかれた私。その間、怖くて声も出なかった。