第4章 初デート
そんなくだらない話を意外にも真剣に聞いてくれた青峰くん。
「お前が出てた全中の準々決勝見た。」
「え!?なんで!?」
青峰くんの発言に心底驚いた。でも、その発言のおかげで、何故青峰くんが私がバスケをしていた事を知ってたのかが分かってた。
「第四クォーター、点差が二十点以上もあんのに、お前だけは諦めねえでいた。お前のプレーに惹かれたってのもあったけど、コイツは本当にバスケが好きでちゃんとやってる奴なんだなって思った。」
青峰くんの真っ直ぐな言葉がじんわりと心に浸透していった。
「バスケ好きなんだろ?そんな理由で辞めんな。」
その言葉に思わず涙が零れた。チームを去った時、そんな風に私に声を掛けてくれるチームメイトはいなかった。バスケを辞めるなって言ってくれる青峰くんの言葉が今まで掛けてもらった賞賛の声や拍手よりもずっと、ずっと嬉しかった。
「…青峰くんって、意外と優しいんだね。」
「意外は余計だっつーの。」
青峰くんは横暴な人だとばかり思ってた。でも違った。
「…ありがとう、青峰くん。私、バスケまたやってみようかな?」
「おう。」
「…でも、なんで青峰くん、私なんかにこんなに良くしてくれるの?バスケ部のマネージャーに誘ってくれたのも私にまたバスケさせる為…なんでしょ?」
「…んなもん、決まってんじゃねーか。お前の事好きだからだよ。」
「…え?」
返ってきた答えは思いがけないものだった。
「俺がお前を好きなんだ、お前も俺を好きになれ。」
今までだったら、なんて横暴な…!そう思っただろう。でも、その言葉が嬉しくて堪らないと感じてしまった私は思わずその場から逃げ出してしまった。