• テキストサイズ

プリンにはカラメルを【アイナナ】

第1章 約束 × 九条天 七瀬陸


「ごめんなさい。」
「海ちゃん、もう大丈夫だよ!でも、雪だるま、最後まで作りたかったな。」


笑顔で答える陸ちゃんに、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「代わりに、天にぃと海ちゃんで作ってきてよ。」

笑顔でそう言う陸ちゃんを見て、天は「わかった」と呟くと、外へ出ていった。
私も、それについて行った。


「天ちゃん、ごめんなさい。」
「海ちゃん、もう、陸に無理させないで。絶対。」
「ごめんなさい。」

もう頭の中がぐちゃぐちゃで、自分のしたことの大きさに震えていた。
天は、その私を見て、ぎゅっと手を握った。


「今日はもう、大丈夫だから。ほら、陸のために、雪だるまを作ろう?」


天がそう微笑んでくれたことを覚えてる。
とても優しくて、温かいと思った。


それから、ああでもない、こうでもないと、2人で力を合わせ、雪だるまを作った。


「わー!!かわいい雪だるま!!海ちゃん、天にぃ、ありがとう。」

それを見た陸ちゃんは、とても喜んでいた。


「ぼく、温かい飲み物持ってくるね。」

そう言って天がいなくなると


「海ちゃん、天にぃと仲直りできた?」
「うん。」
「よかった。それが一番うれしい。」


ああ、2人はなんて優しいんだろう。
そう思うと、涙が出た。


「え?!え?!何で泣いてるの?!」
「あー。陸が海ちゃん泣かせた。」
「天にぃ?!いや?!違うよ!違う、違う!!」


慌てて否定する陸ちゃんと、泣きじゃくる私。
天は、私にマグカップを差し出した。


「あったかい牛乳。どうぞ。」


電子レンジで温めただけの牛乳。
私は今まで、あのホットミルクよりおいしいものを飲んだことはない。
優しくて、甘い味がした。
/ 22ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp