第1章 約束 × 九条天 七瀬陸
「陸ちゃんは、天に憧れて、アイドルになりたいって、そう言ったんだよ。
陸ちゃんは、一生懸命努力して、居場所を勝ち取ったんだよ。そんなの、止めることなんてできない。」
「海の言ってることはきれいごとだよ。陸が、常に最高のパフォーマンスを見せることができると思う?
身体に負担をかけずに、世間の注目を浴びて、ストレスを感じずに、仕事ができると思う?」
天の言ってることは正しい。
私が心配していることと、同じだから。
それでも
「陸ちゃんは、わかっててオーディションを受けたんだよ。」
ずっと見ていたからわかる。
陸ちゃんが、どれだけ一生懸命だったか。
どれだけ、憧れていたか。
「本当に…。海は変わらないね。
ねえ、もうひとつ、約束したこと、覚えてる?」
「……覚えてるよ。」
私は天と、ふたつの約束をした。