第1章 約束 × 九条天 七瀬陸
「今日はどんなことをしたの?」
「えっと…バスケ。」
「バスケ?!」
「ははっ楽しかったよ。」
「運動なんてして、大丈夫だったの?」
「平気だよ。」
陸ちゃんには、アイドルの才能はあると思う。
でも、身体のことだけは心配なのだ。
「無理、しないでね。」
「大丈夫。わかってる。」
自分に言い聞かせるように答える。
心配しすぎも、よくない…かな。
そう思い、話題を変える。
「何人合格したの?」
「オレも入れて7人だよ。」
「たくさんいるんだね。みんなと、仲良くできそう?」
「うん。大丈夫!」
「グループの名前とか決まってるの?」
「うん、IDOLiSH7に決まったよ~。」
「あーあ。なんか聞けば聞くほど現実味を帯びてくるなあ。これから陸ちゃんとはあんまり会えなくなっちゃうね。」
「え?なんで?」
そのきょとんとした顔に呆れてしまった。
「“アイドル”だよ?こんな風に女の子と2人で会ってるのが世間に知れたら大変なことになるでしょう?」
「えー?そうかなー?」
「甘いよ!陸ちゃん!!SNSですぐに拡散されて、芸能界干されるよ?!」
「オレにそんな注目、まだ集まってないと思うけど。」
「その、なめきってる感じ、本当やばいからね?」
力説する私に「じゃあ、気をつける…。」と小さな声で答えると、さっきまでの表情が嘘のように落ち込んでいるのがわかる。
「そんな顔しないでよ。」
「だって、オレ…海ちゃん好きだし、会えないなんて嫌だよ。」
涙目で話す陸ちゃん。
「ごめん。私が間違ってた。会わないのは間違いだね。」
「え!!じゃあ、今まで通り、会っても大丈夫?」
「うん。大丈夫、大丈夫。」
その言葉を聞くと、安心したのか笑顔を見せ、私をぎゅっと抱きしめた。
「ねえ、キスしてもいい?」
「そんなの、聞かなくてもしていいんだよ?」
そう言って、陸ちゃんと唇を重ねた。