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プリンにはカラメルを【アイナナ】

第1章 約束 × 九条天 七瀬陸


高校へ進学し、陸ちゃんと一緒にテレビを見ていたときのことだった。


「さあ!今日は期待の大型新人をご紹介します。あの、大手 八乙女事務所から!!
 男性3人組のアイドル。 TRIGGER!!!」


「えっ。」

紹介されたアイドルが画面にうつる。
それを見て、驚いたのは言うまでもない。


「天…?」


「さあ、自己紹介からお願いします。」
「はい、九条天です。よろしくお願いします!」

画面に映る天は、あの頃より少し大人になった。
そして、洗練された美しさを感じた。


「天にぃだ…。海ちゃん、天にぃだよ!!!」
「……天…帰ってきてたんだ。」

この時、私たちのなかには二つの気持ちがあった。
天の無事を確認できてうれしい気持ちと
日本に戻ってきているのに、私たちに会いにきてくれなかった、かなしい気持ち。
どちらも大きくて、避けられない気持ちだった。


「陸ちゃん。」
「何?」
「キスしよ。」


そう言うなり、陸ちゃんの返事も聞かず、私は陸ちゃんの口を塞いだ。

天が会いに来てくれなかったことに言い知れぬ寂しさを感じた。
最低なのはわかってるけど、それを紛らわすのに陸ちゃんを利用した。
本当、最低。


陸ちゃんは、きっとわかってた。
でも、それもうけいれてくれる。
優しい陸ちゃんを利用した。
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