第1章 約束 × 九条天 七瀬陸
陸ちゃんは、私を繊細な壊れ物を扱うように、優しく、丁寧に扱った。
私の気持ちを尊重して、嫌なことは絶対にしない。
陸ちゃんと一緒にいるときは、それまでと変わらず、やっぱり、自分らしくいられた。
ただ…
「海ちゃん、大好き。」
そう言われても
「ありがとう。」
と、返すことしかできなくて、そのたびに、罪悪感が募っていった。
私と付き合い始めても、陸ちゃんはアイドルになる道をあきらめることはなかった。
身体と相談しながら、歌の練習も、ダンスの練習も欠かさず行った。
日に日に、陸ちゃんが上達していくのがわかる。
陸ちゃんの努力はゆるぎなく、確実に力になっていった。