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プリンにはカラメルを【アイナナ】

第1章 約束 × 九条天 七瀬陸


「子どもの頃はさ、今より発作起きやすかったし、なかなか外で遊べなかったけど。今なら、遊べるよ!何がいい?!」
「陸ちゃん、中学2年生にもなって、公園では遊ばないんじゃないの?」
「オレ、ブランコ!!」

一目散にブランコにかけよると、楽しそうに漕ぎだした。

「うわあああああ!!!」
「何?!」
「ブランコって…怖いんだね?!」
「何それ?」
「なんか、みんなびゅんびゅん早く漕いでたから楽しいものだと思ってた。」
「いや、別に怖くはないでしょ?」
「そんなことないよ!海ちゃんも乗ってみて?」


陸ちゃんに促され、ブランコに乗る。


「きゃあああああああ!!!」
「ほら!ほらね!!!」
「本当だ…なんで昔はあんなに普通に乗れてたんだろう。」

心臓が早く動いてるのがわかる。

「え?!昔は怖くなかったの?」
「うん、怖くなかったよ。」
「不思議だね。」
「うん。不思議。」


陸ちゃんは、私を見て微笑むと


「よし!次は滑り台!!」


そう言ってまた走り出した。


「いたたたたたたたっ」
「今度は何?!」
「おしりがいたい。」

「ははっ。何それ!!」
「いや、本当、痛いんだって。海ちゃんも!ほら!」


陸ちゃんに言われるまま、陸ちゃんと一緒に公園で散々遊んだ。


「あー!楽しかったね!海ちゃん!」
「うん。楽しかった。」
「オレ、海ちゃんの笑ってる顔、たくさん見られて嬉しかったよ。」


陸ちゃんに言われて、はっと気づく。


「私、笑ってた?」
「うん。結構序盤からね。」


抑揚のない、平坦な日々を過ごしてきた。
嬉しいも
楽しいも
悲しいも
寂しいも
ここ最近、何も感じていなかった。


「今日、こんなにも楽しいのは、陸ちゃんのおかげだね。ありがとう。」
「ううん。また、たくさん遊ぼう?オレは、海ちゃんがたくさん笑えるように頑張るから。」


陸ちゃんの言葉にうなずいた。
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