第2章 いよいよ開始! 男装生活~入学式~
程無くして始まった入学式は何とも言えない緊張感に包まれたものだった。そして、当然ながら周りには男子しかいない。と言うか先生も全員男子だった。改めて女が自分だけ、ということを自覚すると、不安は募るばかり。
「新入生の代表挨拶。三好英介。」
えっ?! 三好さんってそんな頭良いの?!
こういう場で挨拶するのは学年主席の成績で入学した者、という自分には縁の無い知識がこんな形で役に立つとは思いもよらなかった。
名前を呼ばれた三好さんは凛と胸を張って壇上に登っていく。
「春の訪れと共に、私たちに250名は鷹見原学園に入学することができました。本日は―。」
三好さんは緊張を微塵も感じさせない堂々とした声色で挨拶を終え、一礼して壇を降りた。
「新入生歓迎の挨拶。生徒会長、東春樹(はるき)。」
そして、今度の挨拶も知っている人だった。東さんも三好さんに負けず劣らず、凛とした姿勢で壇を上がる。そして、新入生の方を向くと、朗らかな笑みを浮かべた。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうござます。また、保護者の皆様、―。」
生徒会長としての威厳を存分に感じられる余裕の挨拶だった。真顔の三好さんに対して、微少を湛えていたのもそう見えた一因だろう。
入学式を終え、それぞれの教室に入った新入生たちは、HRの時間を使って自己紹介をすることになった。
「えっと、平藤燈弥です。髪が長いのは当家の風習で……女みたいかもしれませんけど、男です。」
苦笑を交えて言えば、周りからは「だよなぁ」や、「えー」といった声が上がった。
「ここ、男子校ですよ?」
最後に悪戯っぽく笑って席につく。三好さんがこちらを見ていて、目が合った。
「やれば出来るじゃないか」
口パクで伝えられた上から目線のお褒めの言葉に、つい嬉しくなってしまった。