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一人ぼっちとかやっていけません……

第2章 いよいよ開始! 男装生活~入学式~


私にからかわれたのが気に触ったのか、三好さんは暫く黙っていた。しかし、学園が近くなってから私に話し掛けてくれた。
「あぁ、そうだ。運転してる彼は東家の使用人。君の運転手兼三年間の使用人だから。」
「し、使用人?!」
耳慣れない言葉につい大声が出てしまった。
「そう。……言っておくけど、君が通うのは県有数のお金持ち学校だからね? 使用人くらいで一々騒がないでよ?」
「で、でも、使用人なんて……。」
私がそう言っている途中に車は止まり、ドアが開いた。
「本日より、三年間燈弥様の使用人となります、棗(なつめ)と申します。どうぞ、宜しくお願い致します。」
「はぁ……。」
「この学園で使用人連れてるなんて珍しくないよ。それに、使用人って言っても送迎と荷物持ちくらいだし。」
三好さんは先に車を降りて立っていた男性に鞄を預けた。おそらく、あの方が三好さんの使用人なのだろう。
「あ、えっと……宜しくお願いしますね、棗さん。」
「使用人にさん付けなどお止めください。」
棗さんが可笑しそうに言った。
「私は燈弥様に使われる身にございます。」
「じゃあ……宜しく、棗。……とか?」
「はい。」
慣れないお金持ちの常識に戸惑いつつも私は棗さんに鞄に預ける。

こんなところで慌ててちゃ駄目だ。ちゃんと馴染まないと……。

決意はしてみたものの、見渡せば見渡す程自信がなくなってくる。そんな私の不安を他所に三好さんと三好さんの使用人さん、そして棗さんは学園の生徒玄関へと向かってく。置いていかれたく無くて急いで歩くと、それに気付いた三好さんがふっと笑みを浮かべた。
「そんなに焦るものでも無いよ。困ったら助けてあげるから。だから、ちゃんと僕に言いなよ? 燈弥。」
その言葉が何だか嬉しくて顔が綻ぶ。
「……うん!」
「何、そのだらしない顔」
三好さんが鬱陶しそうにため息を吐いた。
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