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一人ぼっちとかやっていけません……

第3章 いよいよ開始! 男装生活~日常~


「なにしてるの。」
午前の授業が終わり、長休みに僕の元へ来た英介は初めに言った。
「……今?」
「違うに決まってるでしょ? 燈弥、馬鹿なんじゃないの?」
真顔でそう返してくる英介に少しむっとしてしまう。
「じゃあいつのこと?」
「……ちょっと来て。」
英介は僕の質問に答えず、腕を引っ張って生徒会役員室に連れていった。
「体育の後、どうしたんだよ。随分と遅かったけど。」
「あれは、……生徒会長室も生徒会役員室も開いてなかっんだよ。仕方無いでしょ?」
英介は少し驚いた様に目を瞬いた。
「あれ、鍵渡して無い?」
頷く。
「……ごめん。」
申し訳無さそうに頭を掻く英介に慌てて手を振って大丈夫だよ、と告げる。英介はありがとう、と返したが表情は変わらなかった。
机の引き出しを探り、僕に鍵を手渡す。
「はい、これ。生徒会役員室の鍵。生徒会長室は持ってないから、欲しいなら東会長に言いなよ。」
「うん、ありがとう。」
「にしても……どこで着替えたんだい?」
「あぁ、第五理科準備室でね、」
「第五理科準備室?」
僕の言葉を遮って英介が眉をひそめる。もしかしてあの人のことを知っているのかも、と一瞬期待したが、英介の口から出た言葉は僕の予想と反していた。
「そんな場所、普段使われていない筈だろう?」
「そうなんだけど………なんか、理科準備室登校してる人がいるらしくって……。」
「何だそれ。」
英介は呆れたようにため息を吐いた。
「この学園にも変な人は居るんだね。」
「そう言えば、何で英介は生徒会役員をやってるの? まだ、入学したばかりなのに。」
僕は予てからの疑問を英介にぶつけてみた。すると英介は僕もよく知らないけど、と前置きしてから
「そういう伝統らしいね。学年主席で入学した者は自動的に生徒会役員になって、将来的には生徒会長になるみたいだよ?」
と教えてくれた。その事実に自分の目の前にいる人がすごい人だと改めて痛感させられる。けれど、今の僕にはそれが妙に誇らしくて嬉しくなる。
「兎も角、もう理科準備室登校するような変人には関わらない方がいい。東会長にもその人のことを詳しく聞いておくよ。」
その日のお昼休みの会話はそれで終わり。僕と英介は一緒に教室に帰ると、次の授業の為に準備を始めた。
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