第1章 どきどきわくわく 高校新生活?!
生徒会室に居たのは二人の男子生徒。
わぁ、どっちもイケメン……。じゃなくて!
「初めまして、平藤燈弥さん。僕は生徒会長の東春樹(はるき)。それで、」
そこで言葉を切って東さんは隣の男子生徒に視線を移す。
「三好英介(みよしえいすけ)と言います。」
そう言って三好さんは頭を下げた。私も一応下げておく。
「そんなに緊張しないでよ、平藤さん。いきなり入学証書を撤回します、なんて言わないからさ。」
東さんに思っていることを言い当てれてドキッとした。
「じゃあ、どうして……?」
「言ったでしょ、話があるんだよ。平藤さん、君には選択肢が二つある。」
東さんが微笑みながら指を二本立てた。
「まず一つ目。自分の姓を隠してこの鷹見原学園に通うこと。そして二つ目。ここで鷹見原学園への入学の話を無しにして高校浪人になること。」
悠々と足を組み、さぁ、どちらが良い?とでも言いたげに私を見据える。
「あぁ、因みに鷹見原学園に入学してくれた場合は制服、授業料等の必要経費は学園が持たせてもらうよ。何せ、君のお家に入学証書がいったのは学園の不手際だからね」
「男子校に女が書類を送るのもどうかと思ういますけど」
今まで黙っていた立っていた三好さんが皮肉っぽく呟く。
「それとも、知らなかったんですか? 鷹見原学園が男子校だって。」
「知ってましたけど……そ、それはお母さんが勝手に……!」
「お母様が、ねぇ……」
うっすらと嘲笑を浮かべる三好さん。
うぅ…何この人。感じ悪っ……!!
互いに睨み合う私たちを諌める様に東さんの声が割って入る。
「こら、英介。虐めたら駄目でしょ。」
「申し訳有りません、会長。」
「謝罪は僕じゃなくて彼女に、ね?」
その言葉を受け、三好さんは少し顔を歪めたが、素直に頭を下げた。
「大変失礼致しました。」
「いえ……。」
これ以上渋るのも子供っぽくて私は言い返すのを止めた。
「それで、平藤さんの思いを聞かせてくるかな。君はどうしたい?」
「私は……。」
高校には通いたい。でも周りはみんな男で、しかも自分は男の振りをしなければいけないなんて…。
葛藤の末、私は結論を出した。
「……通います。私、鷹見原学園に入学したいです。」
「ありがとう。僕たち生徒会一同、心より歓迎するよ。」
東さんはそう優しく微笑んだ。
