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一人ぼっちとかやっていけません……

第3章 いよいよ開始! 男装生活~日常~


「し、失礼しまーす……」
体育の前の休み時間に僕が訪れたのは生徒会長室。東さんに言われた通り更衣室として使わせてもらうことにした。生徒会長室は特殊教室の並びにあるものの、教室棟から近い。これなら、授業に遅れる心配も無いだろう。
「はい? ……あぁ、燈弥ちゃん。」
東さんは持っていた書類から顔をあげてようこそ、と微笑んだ。
「授業、出なくて良いんですか……?」
「出てるよ? ただ、生徒会の仕事に急に変更が有ってね。今日までなんだ。」
こんな短い休み時間も仕事に費やすほど切羽詰まっているのは、東さんの表情からも読み取れた。
「あの、僕でよければ……お手伝いしましょうか…?」
「ありがとう。でも、燈弥ちゃんだって次の授業があるでしょ? だから、僕は先に退出するよ。鍵、開けていって良いからね。」
「あ、ごめんなさい……! やっぱり英介の部屋使います……!」
僕はそう言って頭を下げ、部屋を出て行こうとした。だが、東さんに腕を掴まれた。
「っ……! あの、東さん……?」
「うん? ……あぁ、ごめんね。」
最初はきょとんとしていた東さんも僕が腕を凝視していることから意図を読み取れた様で、手を離してくれた。
「気を遣ってくれてありがとう。ただ、君は何も気にしなくて良いんだよ。与えられた環境で存分に我儘を言っていい。それは、今君が持っている権利だ。いいね?」
包み込む様な優しい笑みで、声色で語りかけてくれる東さん。
「……はい。」
頷いた僕に満足げに笑うと、東さんは扉へ足を向けた。
「僕、健気な子は好きなんだよ。」
去り際にそう僕の頭を軽く撫でて。
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