第3章 いよいよ開始! 男装生活~日常~
鷹見原(たかみはら)学園に入学して数日が経ち、今日から本格的な授業の始まりだ。棗(なつめ)は昨日と同じ時間に迎えに来て、同じ様に送り出してくれた。
「燈弥、おはよー!」
そう元気に挨拶してくれたのは健吾(けんご)くん。
「おはよう、健吾くん。今日から授業って、何だか緊張するね……。」
「そうか? ま、何とかなるって!」
健吾くんの笑顔で言われると本当に何とかなりそうな気がするのだから不思議だ。
「燈弥。」
「おはよう、英介(えいすけ)。」
健吾くんとの会話を中断してそちらを向くと、英介にメモを突き付けられた。首を傾げながら内容を確認すると、
『おはよう、平藤さん。今日は体育が有るらしいね。着替えに生徒会長室か生徒会役員室を使うと良いよ。僕と英介の私室だから、心配しなくていい。場所は分からなかったら英介に聞いて。』
几帳面な字でそう丁寧に記されていた。生徒会役員の私室がある学園に改めて驚く。
「じゃあ、そういうことだから。」
英介はそれだけ言って席に戻ってしまう。
「あ、英介……。」
お礼を言おうと思って名前を呼んだけれど、丁度チャイムが鳴ってしまった。
英介にも東(あずま)さんにも、後でお礼を言わないと……。
そう思いながら僕は席に付いた。