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マグネット

第1章 恋煩い 【SN】


Aside

酔っぱらったニノはいつにも増して色っぽい。

「あいばさぁんっ、ビールちょおだい!」

白い肌はほんのり赤く染まっていて。
眠いのか目がとろんとしている。

「ちょっと!飲み過ぎっ」

「いいじゃんかー。もぉ一杯くらいー」

「だぁめ!今日はおとなしく寝なさい」

「ぶぅー……あいばさんのけち…」

そう言って、静かになったと思ったら、最近は決まって涙を流しながらこの言葉を吐く。

「俺……あいばさんのこと好きになれば良かったな…」

「またぁ…そんなこと言わないの!ましてや……」


――お前のこと好きなやつに……さ。


「……寝た…か」

ソファーに頭をこてんと預けて、ニノは静かな寝息を立てている。

ニノの頬に残る涙の跡。


俺だったらお前のこと絶対悲しませないのに。

何度この天使を自分のものにしたいと考えただろう。

でも、この想いを伝えることは許されない。

そうだと分かっていても俺の欲望は、抑えきれない程に溢れてくるばかりで。

「翔ちゃんなんかより俺にしろよ」

そっとすやすや眠る天使に口づける。


「……しょお…ちゃん…」

唇が離れた瞬間、呟やかれたその言葉は俺を動けなくさせた。

そう発したニノは、わずかに微笑んだ気がして。

実感する。

あぁ…やっぱり翔ちゃんにはかなわないんだ……って。


ニノが幸せになってくれるならそれで良い。

翔ちゃん、早く気付いてあげてよ。

こんなに翔ちゃんのこと考えて毎日悩んでるんだよ?


ニノの笑顔が一日も早く戻ることを祈りながら、いつまでもその寝顔を見つめていた。
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