第6章 思い出したくないことほどよく思い出す
2人は近藤さんの行方を知らないようだったので、一回屯所に戻ることにする。
別れた時の2人の笑顔は吹っ切れた感じだったからなんとかなるだろう。
問題は近藤さんだ。
行方不明の上に記憶喪失なんてものになってると知ったら土方さんが頭痛と腹痛にサンドイッチされることになる。
でも、伝えなきゃいけないものは仕方ない。
廊下から土方さんの部屋に向けて「入ります」と声をかけると「おお」と返事が帰ってくる。
戸を開けると机に向かい書類になにか書いている土方さんがいた。
「あの、土方さん。近藤さんの事なんですが―――――」
そこで土方さんの電話が鳴り出し、「悪ぃ」と言って土方さんは電話に出る。
「おいザキ、どうした。...あ?良くやった、スグ帰ってこい...ああ、分かった」
電話の相手は山崎さんだったらしい。確か今日は潜入捜査だとかなんとか言ってた気がする。
潜入捜査先で何かあったのだろうか。
「山崎から連絡が来たんだが、潜入捜査先で近藤さんが見つかったらしい。っんと、あの人は何してんだか...。
で、近藤さんがどうかしたのか?」
「近藤さん見つかったんですね!良かったです。
けど、その近藤さんに関してなんですが、一つ問題がありまして...」
「あ?なんだその問題ってのは」
「新八くんと神楽ちゃんから聞いたんですが、近藤さん今記憶そ―――――」
「副長ォォ!!!大変です!今通報があったんですが、山崎さんが潜入捜査してる工場で爆破があったそうなんです!」
「オイテメー開けるときは声かけろつってんだろ!!!」
話している途中にいきなり戸が空いてまた話が遮られた。この人は高田みたいな名前だった気がする。
高田(仮)さんは2人で居た土方さんと私を見て何やら慌てだした。
「す、すみませんっ!邪魔しました!爆破は俺たちでなんとかします!後はお2人でチョメチョメしててください!」
「そりゃご苦労なこった。だが、今からチョメチョメな姿になるのはテメーのほうだ」
そう言って刀に手をかけようとする土方さんを慌てて止める。
「今から山崎さんがいる工場に行かなければならないんでしょう!早く行ってください!」
「けど、お前が言おうとしてたことはいいのか?」
「はい。帰ってきてからにでも言います」
記憶喪失なら、すぐ分かるだろう。