第6章 思い出したくないことほどよく思い出す
「神楽ちゃーん、ちかさーん、刀、持ってきましたよ!」
ドタドタと入ってきたのは新八くん。
手には言葉の通り私の刀が握られていた。
新八くんから刀を受け取り、ゆっくりと鞘から刀を取り出す。
以前見た時も変わらない、鋭い輝きを見せてくれた。
「本当に何度見てもいい刀ですね!」
「ちかのマミーの家に代々伝わってきたものなんだから当たり前ネ!新八ごときにいい刀と言われるモンじゃないアルヨ!」
「いやなんだよ僕ごときって!僕は刀も褒めちゃいけないの?!」
「人間をかけたメガネうるさいアル。メガネは言葉じゃなくレンズで語るものネ。分かったなら大人しくしとけ」
「せめて名前で呼んで?!あと、ちょっとカッコいいふうに言ってるけどレンズで語るってなんだよ、語れねーよ!!!」
相変わらずキレッキレのツッコミを見せる新八くん。
真選組にも突っ込まなきゃいけない人が沢山いるから今度ツッコミの奥義でも教えてもらおう。
それに、頼みたいことが一つできた。
「万事屋に、頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」
万事屋という言葉に言い争っていた神楽ちゃんと新八くんがピクッと反応し、静かになる。
この無言は肯定と受け取っていいだろう。
「引き続き、この刀を預かって貰いたいんだけどいいかな?」
私の言葉を聞いて2人の顔はパアアっと明るくなる。
「そんなの言われなくてもやるアルヨ!私達は腐っても『万事屋』ネ!」
「そうですよ、ちかさんの大事な刀、預からせてもらいます!」
「ありがとう」
2人の笑顔にこっちも笑顔になる。
だけど、この中に銀さんがいないのが少し物足りない。
だけど、この2人の事だから銀さんのこともちゃんと連れ戻すだろう。
神楽ちゃんの言った通り万事屋は腐っても『万事屋』なのだから。