第9章 奢られすぎると遠慮するけど奢って欲しいのは山々なんです
食事後に連れていかれたのはまさかの不動産屋さん。晋助さんのお金で部屋を借りてくれるらしい。
申し訳ないから遠慮しようと出した言葉も全て流される。
「こういう時は素直に従っとく方が可愛いぜ?」
そう意地悪な笑みを浮かべながら言われたらもう何も言い返せない。
黙って赤くなる私を見て晋助さんは喉を鳴らして笑う。軽く肩を叩くと笑うのはやめたけど少し口が緩んでる。
「はぁ...。部屋を選ぶんでしょ。決めるんならぱぱっと決めちゃいましょう」
「そうだな。俺もちょくちょく寄るから広い部屋にするか」
「は?」
「女だから防犯もしっかりしねェとな」
「え、どういう事ですか」
ちょっと待って聞き流しちゃいけない言葉が聞こえたよ。
家にちょくちょく寄るってどういうことなんですかご馳走するだけじゃないんですか。
「...?俺の金で契約すんだから出入りぐれェ自由にさせろ」
「は...?いやいや本当に大丈夫ですって!私お金も貯まってますし、お給金もきちんと頂いているんで晋助さんが払わなくても...」
「もちろんただで払うわけはねェだろ。その分、お前ェには俺の頼みを聞いてもらうしな」
「...ちなみに頼みってどんな事ですか」
「あぁ。まァ、今は無ェけどそのうちな。そんな大変なことじゃねェから大丈夫だよ」
それならいいですけど、と小さく呟くと晋助さんが喉で笑う声が聞こえる。何が面白いのか分からない。