第6章 思い出したくないことほどよく思い出す
どうなったのか知りたくて門近くで待ち続けると土方さん達が帰ってきた。
近藤さんを先頭にその後ろに副長の土方さん、一番隊隊長の沖田さんという感じだ。
見た感じ近藤さんには何の異変もなく、記憶喪失も治ったみたいだったので心の内で安堵した。
後ろにいた土方さんに目をやると心臓が跳ね上がるような思いがした。
「土方さん!頭どうしたんですか!」
「大丈夫じゃねェがいつものことだから気にすんな」
土方さんが口を開くより先に沖田さんが喋る。
そういう事じゃないんです、と沖田さんを睨むと肩を竦めるだけの沖田さん。
帰ってきた土方さんの頭には包帯が巻かれており、少し、傷から出たんだろうが、血が見える。
「頭の怪我って出血量が他と比べて多いんですよ!貧血とかになってないですか?
あと、どこかで聞いたんですが頭をぶつけると馬鹿になるのは本当らしくて、ぶつけるたびに頭の細胞が死んでいってどんどん馬鹿になるんですって!なってないですか!」
自分でもなんでこんなに気が動転してるのか分からないが訳の分からないことを早口でまくし立てた。
怪我なんて煉獄関にいるときは見慣れてたし、もっと酷い時もあった。
多分結構土方さんたちは御用があるときもほぼ無傷で帰ってきたから久しぶりの怪我にビックリしたんだろう。
「ちかちゃん、どうどう」
と近藤さんが馬を静めるみたいに言ってくる。
深呼吸をして、気を落ち着かせる。
視界の端に笑いを堪えてる沖田さんがいた。
「どうしてそんな怪我負ったんですか?」
「なんでもな―――」
「佐藤、そんなこと聞いちゃあいけねェや。
土方さんがかっこつけて突っ立ってたら爆破で飛んできた破片が頭に当たったなんてオメーに知れたら土方さん恥ずかしくてこの世にいられねェよ」
今ので半分ぐらいの隊士が吹き出し、もう半分は辛うじて笑いを堪えていた。
「俺が言わなくてもオメーが言ってるじゃねェか!」
「あり?佐藤にバレちやいやしたね。なら土方さん恥ずか死なきゃならねーや。安心しなくても俺が殺ってやりまさァ、土方」
「その前に俺が殺ってやるよ死ね沖田」
「お前が死ね土方」
「あと、今ので笑った奴も全員士道不覚悟で切腹な」
隊士達からえー、とかそんなーとか声が聞こえる。
良かった、土方さんの頭は問題ないみたいだ。