第6章 思い出したくないことほどよく思い出す
とりあえず話をまとめるとお妙さんの家に毎度のことながら侵入していた近藤さんが、
お妙さんが銀さんのために作った卵焼きを食べて記憶喪失になったらしい。
ちなみにそれでまた銀さんも記憶喪失になったと。
結構身近な人が記憶喪失になって、記憶喪失なんて本当にあるんだと少し感動する。とても不謹慎だけど。
「お妙さんの卵焼きにそんな副作用が付いてるのもビックリだけど近藤さんも記憶喪失になっていたなんて...」
「ほんっっっっとうにすみません!うちの姉が!!!」
「いやいや、本当に大丈夫だよ、近藤さんも一回頭を空っぽにした方がいいと思うし。
あと、一つ聞きたいことがあるんだけど、私の刀って無事?」
「無事アルヨ!丁度あまり損壊がない所に置いてあったから傷もまったく付いてなかったネ!多分、ちかのマミーが守ってくれたアル!
おい新八、早くちかの刀取ってこいよ」
新八くんは「まったく、人使いが荒いんだから」とかブツブツ文句を言っていたけど神楽ちゃんに言われた通りに刀を取りに行った。
前から思っていたけど新八くんは少しパシリ気質なのかもしれない。
「ありがとう、神楽ちゃん。母がそんなことをしたなんて思えないけどなんか、そう言ってくれると気が楽になる」
「いんや、そうに違いないアルヨ。親っていうのは子供が気づいていなくてもどこかでずうっと見守っているものアルネ!
自分でも気づかないうちに良い方へと導いてくれてるのかもしれないヨ。だから、ちかと私はこうして出会えたネ。」
そういって神楽ちゃんはニカッと歯を見せて笑う。
その笑顔が今までひねくれ曲がって生きてきた私にとっては凄く眩しくて、だけど、いつまでも見ていたいような笑顔だった。