第6章 思い出したくないことほどよく思い出す
「ちか〜」
「うわっ、神楽ちゃんどうしたの」
神楽ちゃんが暗い顔をして座っていた私の腰に抱きついた。
「って、痛い痛い痛い痛い!!!」
力を込めすぎて骨が折れそう。力ずくで腰から腕を離す。
神楽ちゃんは戦闘民族夜兎の娘らしくて有り得ないほど力が強い。
「ごめんネ、ちか...。でも、色々あって...」
「本当に色々あったんですよ」
後から座敷に入ってきた新八くんも暗い顔をしている。
銀さんがいない
「あれ?銀さんは?」
「...その事ですけど今から説明します。」
新八くんから聞いたのは今までのこと。
銀さんが事故で記憶喪失になったこと。万事屋にどこかの馬鹿が宇宙船ごと墜落し、その流れで銀さんが、「生まれ変わったつもりで人生をやり直してみたい。
だから、万事屋も解散しよう。君たちにとってもそのほうがいいだろう」とかなんとか言って、万事屋は解散(仮)という状態なこと。
記憶喪失なんて本当にあるのかと思ってけど、普通の銀さんがそんなこと言い出すことはないから本当にそうなんだろう。
「ということは、近藤さんを探すなんていう状況じゃないか...」
私が呟いた言葉に神楽ちゃんと新八くんがビクッと反応した。
「ねえ、近藤さんが行方不明らしいんだけど何があったか知らない?」
「いや、それにはじ、事情があって―――――――」
「そそそそそそうアル!だから、ゴリラが姉御の卵焼き(ダークマター)を食べて記憶喪失になったとかそういう事じゃないアルヨ!!!」
「オイイイイイ!!!全部言っちゃってんじゃねェェエエかァァァア!!!」