第1章 自称優男は大体外道
「見ての通り、“煉獄関”は違法闘技場。天導衆や天人達の遊び場。
私達闘士はただの遊び道具にしか見られちゃいない。私はそれを承知でここの闘士になりました。
私の目的は煉獄関の閉鎖。この闘技場は私が潰す。
逃がしてるのはこんなとこで亡くなる人を少なくするため。
あと、潰すにしても中の人が多いのもアレだし、恩着せがましいけど、それで協力者が増えたらいいな、みたいなです。」
沖田総悟は私の前であぐらをかき、頬杖をつきながら話を聞いていた。
本当にこの人は話を聞いてるのか?
「...理由は分かりやしたけど、アンタみたいな小娘がなんでこんなことするのかは謎だな。
アンタに得なんかあるとは思えねえぜ。」
小娘って多分私と同い年くらいだろうに。
「建前としてはこんなことで賭け試合、殺し合いが行われてるのが許せない、と思っています。」
そう言うと沖田総悟はニヤッと笑った。
「本音は?」
「それはちょっと事務所NGなんで。」
そう言い、指を口の前に持っていき、✕をつくると沖田さんは呆れた顔をした。
「理由を聞けただけでも良しとしやしょう。
が、残念なお知らせ。俺はもうこの件は別の人らに頼んでるんでさァ。お前の出る幕はねえぜ。」
確かにこの件は真選組が簡単に動けるわけじゃない。
聞いたところによると天導衆は幕府の実権を握っているらしいし、簡単に手を出せることじゃないんだろう。
「けど、私も協力することは出来ますよね。その...“別の人ら”と一緒に。
どう考えてもその人たちと君だけで解決出来ることではないでしょう。私、腕っぷしには自信ありますよ。」
沖田さんはしばらく考えてるような仕草をした。
沖田さんのいう別の人らは皆目検討もつかないけど強いのは強いんだろう。
実は自分だけで出来る自信が無かったし、ここで協力者が増えるのも嬉しい。
「...しかたねえな。」
そう言って沖田さんは立ち上がる。
「明日、万事屋に行きな。住所は...ほい。俺が話をつけとくから少し話せば分かると思うぜ。」
懐から少しクシャッとした紙を取り出して渡された。
手に取って見てみるとそれは名刺で、『万事屋 坂田銀時』と書いてあり、その横に少し小さく住所が書いてあった。
「その人らは信用できるぜ。」
そう言うと、沖田さんは去っていった