第5章 イケメンの顔よりブスの顔のほうが覚えやすい
「たくさん食べられました。ありがとうございます」
「オメーよく食うな...。俺より食べてたじゃねェかよ」
「晋助さんが少食なだけだと思います。
人間ってそれなりに食べないと身長伸びないんですよ」
「それ遠回しに俺の事チビだっつってるよな」
料亭の料理は本当に美味しかった。
私には勿体ないくらいに。
食べてる間に私達はたくさんの話をした。
晋助さんの鬼兵隊のことも色々聞いた。
鬼兵隊のことを話す晋助さんはなんだか生き生きしていて、子供みたいだった。
いい意味でね。
私の生い立ちとかも、晋助さんは黙って聞いてくれた。
変に突っ込まれるより、そっちのほうが有難い。
話終わったあと、晋助さんは大変だったな、って言って少し微笑んだ。
それが、同情とか哀れみとかじゃなく、本当にお疲れ、って言われてる気がして。
胸の奥が、こう、なんか、暖かくなる?みたいな。
とにかく、まとめるとご飯は美味しかった。
料亭をでた私達は少し周りを散歩した。
指名手配犯なのに大丈夫なのか、とまた似たような質問をしたら、
「大抵の奴らは指名手配犯の顔なんかいちいち覚えてねーさ。言われてみればそうだったな、レベルだ」
と答えてくれた。
「私は晋助さんのこと覚えてましたよ」
「オメーとはそういう運命だったんだよ」
「運命バンザイですね」
「本当にな」
晋助さんはもっと堅苦しい人かと思ってたら全然違った。
それなりのユーモアのセンスもある。
話していて楽しい。
沖田さんも晋助さんを見習って欲しい。
「家まで送る。どこら辺だ」
「え、家ですか?大丈夫です。1人で帰れます」
絶対言えない。
真選組に居候させて貰ってますなんて絶対に言えない。
「女1人じゃ危ねぇだろ。さっさと教えろ」
晋助さんが少しイラつき始めてる。
どうしよう本当にどうしよう。
晋助さんの眉間の皺が濃くなる。
覚悟を決める。1回の心呼吸。
「真選組、です」
「あ?」