第3章 ストーカーとゴリラは似ていないようでやっぱり似てない
「ごめんくださーい」
インターホンを押して叫んでみるが反応がない
「ごめんくださァァい!」
どれだけ叫んでも反応がない。
違う、なんか聞こえる。門の向こうに誰かいる。
「あの――――――――」
「早く帰れっつってんだろーがゴリラストーカーゴリラ!!!」
「ぶべっ」
門を開けようとしたらまだ触ってないのに門が開き、その向こうから何やらでかい物体が飛んできた。
あまりに急すぎて避けきれず、物体と一緒に地面に倒れ込む。
「あら、女の子...?お客さんかしら?」
頭上から女の人の声が聞こえてくる。この声、さっき聞こえたとんでもない怒号と似てる。
「う、うーん...。あれ、ちかちゃん?!」
どうやら飛んできた物体は近藤さんだったようで、私に気づいた後、私に乗っかってたのをすぐに立ち上がった。
「こんにちは。土方さんが近藤さんを連れ戻してこいと。」
体に付いた砂をはらって立ち上がる。
「トシが?!くそッ、俺はせっかくお妙さんに会いに来たのに!」
「私はそんなこと頼んでないわ。早くこの子とお帰りになられて。」
その“お妙さん”という方はポニーテールで目が大きく、顔も小さくてまさに美少女だった。
「可愛い...」
思わずそう呟くと、お妙さんが凄い勢いで私を見、目を輝かせて私の手を取る。
「そんなこと言わなくても分かってるわよ!照れちゃうわね!」
「だろう!お妙さんの美貌は江戸一とも言われてて...」
「てめーは喋るんじゃねェ。」
「はい。」
近藤さんを黙らせるお妙さん、強い。
近藤さんがお妙さんに惚れてるんだろう。
「あら、そういえば、土方さんに呼ばれて来たってことは真選組の方よね?あそこに女の子っていたかしら?」
「実は私、真選組の者ではなくて、しばらくの間居候させてもらってるだけなんです。
今回はただ頼まれごとをされたってだけで。」
「そうなのね!あなたも大変ね...。
あんなむさくるしい男所帯で女子1人なんて...。」
「大丈夫ですよ、お妙さん!ちかちゃんは私がちゃんと...」
「お前と喋ってない。」
「はい。」
こんな一瞬で近藤さんを黙らせれるなんて江戸一番の強者は真選組や万事屋などじゃなく、この可愛い顔した女の人かもしれない。