第2章 お金より気持ちとか言うけど本当は気持ちよりお金
「お前...そんな顔して結構キツいこと言うのな。」
「そんな顔ってどんな顔ですか」
「どんな顔って...そんな顔だよ」
「どういう事ですか。」
私の数歩先を歩いていた土方さんがいつの間にか私の隣にいた。
そのまま並んで歩き出す。
思ったより土方さんは喋りやすかった。
私が緊張しないようにか知らないけど、話しかけてきてくれたりして楽しい。
真選組の鬼の副長とか呼ばれてたり、目も瞳孔開いてるし正直近寄り難いと思っていたけどそんなことないな。
「ここだ。」
土方さんに案内されたのは六畳ぐらいの和室。
少し小さめの丸机と棚が一つがあるだけで他には何も無い。
「ちと狭ェが、1人だけだから大丈夫だろう。」
「はい、充分です。ありがとうございます。」
小さく頭を下げてからチラッと上を見ると土方さんは優しく微笑んでた。
思わずドキッとする。心臓に悪い。
「荷物とか運ぶもんはねェか?良かったら隊士達に手伝わせるぞ。」
「いえ、大丈夫です。元々そんなに荷物はありませんから。1人でいけます。」
「そうか。」
土方さんは部屋を出ていこうとする。
その時、聞きたいことがあるのを思い出して、慌てて呼び止める。
「あ、すみません。言い忘れてた事がありました。
ちょっと出掛けなければいけないところがありまして、少し部屋を開けます。
外出許可などはとった方が良いでしょうか?」
「あー...誰かにでも出かけるっつっとけばそれでいいさ。これからもそれでいいよ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
今度こそ土方さんが出ていくのを見届ける。
今から、万事屋に行かなくては。